これは何か

記事やウェブページ、またはコンテンツデータのデータとMTMLのテンプレートから画像を生成することができるようになるMovable Typeのプラグインです。主にog:imageやアイキャッチの画像を生成するユースケースを想定しています。

ImageTemplate

以下が簡単な出力例で、「記事内の画像を背景にして、ウェブサイトのテーマカラーで縁取りして、タイトルと執筆者情報を入れる」という画像です。

どのような問題を解決するか

og:imageやアイキャッチ画像は、記事ごとにデザイナーさんに作成してもらうことができるのであれば、それがベストだと思っています。そのようにして作られた画像は目を引くうえに、内容も上手に凝縮して詰め込まれていて素晴らしいです。

ただ現実問題としてそこまで整えることのできないことも多く、そういう環境で記事の作成者が画像を用意するとなると、統一感のある画像を用意するのはなかなか難しいのではないかと思っています。このプラグインではそいう環境で作業者に時間やスキルがない場合にも、「あらかじめデザイナーさんにテンプレートを用意してもらう」ことにより、一定の品質で統一感のある画像を用意できるようになるというところを目指しています。

デモ

使い方

インストール後に、SVGのデータを出力するテンプレートを作成すると使えるようになります。記事やウェブページとの関連付けはテンプレート名で行います。それぞれ以下の名前で作成してください。

記事

image_template_entry_並び順(数字)_表示名

ウェブページ

image_template_page_並び順(数字)_表示名

コンテンツデータ

image_template_content_data_コンテンツタイプのID_並び順(数字)_表示名

テンプレートの例

デモのために作成したテンプレートです。いろいろと決めうちで品質はよくないですが、雰囲気は伝わるかと思います。ルート要素に指定したwidthとheightが、出力される画像のサイズになります。

TODOリスト

  • SVGでなくて、HTMLで書くこともできるようにする
  • 現在は「埋め込める画像はjpegのみ」「出力できる画像はpngのみ」なので、ちゃんと他のフォーマットも扱えるようにする
  • JavaScriptで、SVGの要素を調整して、その結果を出力できるようにする
  • 管理画面で関連付けや並べ替えができるようにする
  • その他、たくさんあります。

この記事について

この記事は Movable Type Advent Calendar 2022 の25日目の記事です。皆様お疲れさまでした。それでは良いお年を!

「MTML」というVisual Studio Codeの拡張機能を公開しました

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これはなにか?

Visual Studio Codeの拡張機能に興味が出たので、MTML(Movable Type Markup Language)向けのものを作ってみました。以下のように動作します。(音声での説明も入っています)

既存の拡張機能との関係

MTML向けの拡張機能やスニペットのデータはすでに公開されたものがあって、以前のアドベントカレンダーで紹介されているものもあります。

これらは実運用の中での知見が反映されたものでそれぞれすばらしいものなので、今回の拡張機能についてはこれらの置き換えを目指すものではなく、「もう一つの選択肢」というものとして考えています。ただ今回の拡張機能は「オプションで特定の機能のみを有効にする」ということもできるので、「リファレンスの表示機能のみを有効にする」というような形で、既存の機能と併用するという使い方もできるものになっています。

機能の説明

シンタックスハイライト

ファイルの編集時に言語を「MTML」にすると、MTタグのシンタックスハイライトが有効になります。「MTML」は「HTML」で書いても概ねいい感じに表示されるものですが、「,」区切りの属性値であったり、属性値の中にMTタグを書く場合にうまくハイライトされないという問題があります。この拡張機能を使うとそのようなケースでもいい感じに表示されるようになります。
また「HTML」のシンタックスも理解するのでHTMLの部分もそのままきれいに表示されます。

ただ、言語として「MTML」を選択してしまうと「HTML」向けのVisual Studio Codeのシンタックスハイライト以外の機能が使えなくなってしまうので、そこは若干、このシンタックスハイライトがほんとに便利なのかどうか、微妙だと思うところです。

補完

MTタグや、タグ毎のモディファイア、そしてグローバルモディファイアを補完することができます。「<」の場合には全てのMTタグが対象になり「<$」まで打てばファンクションタグのみが有効になります。

初期値では「mt:Var」のフォーマットで補完されますが、設定により「MTVar」のフォーマットに変更することもできます。

この機能はデフォルトで「HTML」や「CSS」でも有効になります。設定により「HTML」や「CSS」では無効にすることもできます。

リファレンスマニュアルの表示

MTタグにマウスカーソルを合わせると、リファレンスマニュアルを表示することができます。

この機能はデフォルトで「HTML」や「CSS」でも有効になります。設定により「HTML」や「CSS」では無効にすることもできます。

ブロックタグの折りたたみ

ブロックタグを折りたたむことができます。

この機能はデフォルトで「CSS」でも有効になります。設定により無効にすることもできます。

今後のやることリスト

  • リファレンスの表示の整形や、保管される値の候補の改善
  • 同じフォルダ内の他のファイルも考慮した、変数名の補完
  • theme.yamlのデータを参照した、カスタムフィールドのMTタグの補完

この記事について

この記事はMovable Type Advent Calendar 2022の7日目の記事となっています。ここまでですでに、API、最近のパッケージリリース、Google Chromeの拡張機能、プラグイン、などいろいろな話題がでていて面白いです。まだまだ前半なので、今後の記事も楽しみです。引き続きよろしくお願いします。

v8のlastIndexOfが(相対的に)遅い

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最近honoにコントリビュートをしていて、正規表現の結果からの文字列を探索する際にindexOf()の代わりにlastIndexOf()を使ったら最適化できないだろうかと考えたりしていたのですが、だめでした。これはその際に調べたことのメモです。

まず最初に、1000個のcaptureを返す正規表現の結果から500番目を探すパターンでベンチマークをとってみます。

どのバージョンでもindexOf()が文字通り桁違いに速く、lastIndexOf()はforやwhileにすら負けて最下位になっています。(ただindexOf()を使った場合にも変数へのアサインを挟んだだけでここまでの差にはならなかったりするので、どれも基本的には速く、ちょっとした条件の変化で結果が変わったりする程度のものでもあるとは思います。)単純に1つの空文字列を探索する場合にはindexOf()を使うのがよさそうです。

v8のコードを見てみたところ、indexOfの方はc++のコードで、lastIndexOfはマクロのコードで書かれていたので、その辺りで違いが出ているのかもしれません。

次に、以下のように「最大で2つの連続した空文字列が返ってくる match() の結果から、一番最後の空文字列の位置を取得する(captureは2000個)」というケースでのベンチマークをとってみます。

これはバージョンごとの違いが大きく、v16だと「indexOf()とforループがほぼ同じ性能」で、v17だと「indexOf()が最速で2倍近い性能」、そしてv18(pre)だと「forループが最速」となりました。

結論のようなものはなかなか難しいですが。

  • 正規表現の結果から最初の1つの文字列を探す場合にはArray.prototype.indexOf()が桁違いに速い
  • いまのところArray.prototype.lastIndexOf()は遅い
  • 少し条件が込み入ってくるとforループが最速になることもある

というところでしょうか。v18でもネイティブで実装されたlastIndexOf()よりもforループのの方が早くなるケースがあるというのは若干複雑な気持ちにはなりました。

TypeScriptのConditional Typesでinferを使って足し算を定義する

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String Literal TypesTemplate Literal Typesを使うとGenericsや関数の引数の文字列から型を作れるという話を聞いたので、勉強も兼ねて足し算を定義してみました。

以下のような感じになります。 `Expr<"1 + 1">` が `"10"` というString Literal Typeになります。2進数の足し算のみに対応していて、未対応の式ではUnrecognizedExpression型になります。3項以上でも計算できます。

型が補完されるエディタを使っていると、答を自分で打たなくても補完されたりして楽しいです。

これをtscで変換すると以下のようになるのですが、これを見て、TypeScriptの型はほんとに実行時には影響のないものなのだなと実感することもできます。

足し算の定義は業務の役には立たないものの、このあたりを勉強しつつTypeScriptを使っているウェブのフレームワーク(🔥)にAdded type to c.req.param key.というPRを作ってみて、引数から型を生成するようなパターンには可能性があるなと感じたりもしています。

ちなみにTypeScriptではdocument.querySelector(`a`)と指定したときに引数からHTMLAnchorElementが推論されたりして面白いのですが、`div a`や`a[href^="#"]`だとHTMLElementになってしまうというのがあるのですが、以下のように指定すると要素名っぽいものから推論されるようにできます。(面白いけど、やっぱりこれも使う機会はないとは思いますが。)

MTBockEidtorのカスタムブロックでData APIを使う方法

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これはどんな記事か?

Movable Type 7でプラグインとして利用できるMTBlockEditorでは、管理画面で作成する「カスタムブロック」やプラグインから追加する独自のブロックでブロックの種類を追加することができますが、それらのブロックの中でData APIを使うことも可能です。

この記事ではいくつかのパターンを紹介していきます。

管理画面で作成するカスタムブロック

まず最初に「カスタムブロック」を使った例の紹介になりますが、最初に書いておくとこの方法は実際のところなかなか厳しいです。

  • srcがdata:であるiframeの内で実行されれるため、JavaScriptでData APIにアクセスする際のOriginヘッダーがnullになります。そのため mt-config.cgi で DataAPICORSAllowOrigin の環境変数に対して null を指定する必要があります(これは、外部のサイトからでも JavaScript でアクセス可能にするという設定になります)
  • カスタムスクリプトで実行するためプレビューが更新されるたびにスクリプトが実行される形になり、実行毎の状態を保存することができません。つまりプレビューが更新されるたびにData APIへのアクセスが発生します。CGIで実行している時にはレスポンスが悪くなったり、また認証を必要とする場合にはプレビューが更新されるたびに認証が発生する形になったりしてしまう問題があります。

というところが主な厳しいポイントです。

しかし、そういう部分もありつつではありますが、IPアドレス制限やBASIC認証を設定すれば利用できるケースもありますし、まずはPoCとして、実現が可能かどうかというところも大事だと思うので、以下で簡単な例を紹介します。

カスタムスクリプトの効率的な開発と運用の1つの方法

本題に入る前に、カスタムスクリプトの開発と運用の方法を1つ紹介します。

公式でもよく例として出されているカスタムスクリプトに直接style要素やscript要素を書くやり方は、一つの管理しやすい方法ではありますが、JavaScriptの処理が増えてくるとコーディングが大変であったり更新がしにくくなったりする面もあります。そういった時には、cssやjsのファイルを外部に置いて、linkやscript要素で読み込む方法を使うことができます。例えば以下のような感じです。

CSSはlink要素を使い、JavaScriptはscript要素のsrc属性を使って指定します。JavaScriptにパラメータを渡す場合にはdata属性を使います。script要素にdefer属性(またはtype=moduleにしてもよいかもしれません)を指定することでDOMContentLoadedで囲む必要もなくなりシンプルにすることができます。

webpackを使っていれば「webpack serve」でバンドルしたファイルをローカルの開発サーバーから参照したりすることもできるので、「ファイルの更新 -> ブロックエディタの編集画面のリロード」だけで(カスタムブロックの保存操作などをすることなく)開発をしていくことができるようになります。

今回の例でもこのやり方で開発を行っています。

公開されている記事のリンクを挿入する

ここからが本題です。Data APIを使って記事データを取得してリンクを挿入するブロックを作ります。

ブロックを追加するとキーワードの入力欄が表示されるので、そこにキーワードを入れて検索ボタンをクリックすると候補が出てきて、選択するとその記事のリンクが挿入されるというものです。

CSSとJavaScriptは以下のようにしました。

GitHubに保存しておくとjsdelivrなどを使ってCDN経由で参照できるので、カスタムブロックのカスタムスクリプト欄は以下のようになります。

以下のように動作します。

前述の通りカスタムブロックでは厳しいポイントも多いですが、状況によっては利用できそうな雰囲気も感じられるのではないかと思います。

プラグインから追加する独自のブロック

プラグインから独自のブロックを追加する場合にはカスタムブロックの時にあったような制限はなく、管理画面へJavaScriptを挿入するような自由度で作成することができます。(その反面、XSSなどのセキュリティ的な問題が発生しないように配慮する必要がありますが、雛形作成ツールから作成した場合にはセキュリティ的な問題が起きにくいようにもなっています。)

この記事ではData APIを使った独自のブロックの例として、DataAPIBlockExampleとを作成しました。基本的な動作としては前述のカスタムブロックでの例と同じですが、DataAPIProxy を使って現在のユーザーでサインインした状態で記事を取得するので、未公開の記事のリンクも挿入できるようになっています。その他にも以下のような違いがあります。

  • カスタムブロックのように何度も読み込まれたりしないので、よりリッチな表現を利用しやすい
    • また表現については、CMSのスタイルをそのまま利用できるので、統一感のあるUIで作りやすい
  • 「挿入時の検索語」のような(出力に含まない)メタ情報も、簡単に保存しておくことができる

以下のように動作します。

雛形作成ツールで作成されたものからはそれほど多くない差分でここまで動くようになるので、構築するサイトにあわせた独自のブロックをこういった形で作成をするというのも、現実的な選択肢であると思います。

この記事について

この記事は Movable Type Advent Calendar 2021 の25日目の記事です。皆様お疲れさまでした。それでは良いお年を!